加湿器で起こす肺炎
10月も後半に入り、朝と晩は寒くなってきましたね。
空気も乾燥し風邪を引きやすい季節となりましたので、体調を崩さないよう部屋の加湿などの予防策をとっていきましょう。
今回は、加湿器を使う機会が増えるこれからの季節に注意していただきたい呼吸器の病気「加湿器肺」を取り上げようと思います。
加湿器肺とは?
加湿器肺とは、“加湿器の中のカビが原因で起こすアレルギー性の肺炎”です。
つまり、加湿器内のカビを吸い込むことで肺がアレルギー反応を起こし肺炎となる病気です。
主な症状は咳や発熱です。
自宅で症状が悪化
そして、加湿器肺のいちばんの特徴が「(自宅の加湿器が原因の場合)自宅で症状が重くなり、外出すると症状が軽くなること」です。加湿器内のカビを吸入することが根本的な原因ですので、カビを吸入しなければ症状は軽くなるわけです。
まずは疑うことから
診断のポイントは「加湿器肺を疑うこと」です。
病歴や症状から加湿器肺を疑わない限り、この病気を診断することは難しいと思います。
また加湿器肺は、胸部レントゲンでは正常のように見えても、CTを撮ると左右の肺に淡い影がみられることもあるため、レントゲンだけではなかなか診断が難しい病気です。
咳の原因は多種多様
もしかしたら、いま長引く咳で悩んでおられる方の中に、加湿器肺の方が紛れているかもしれません。
当院は呼吸器専門クリニックとして、なかなか治らない咳の場合では様々な呼吸器疾患の可能性を念頭に置いて診療致します。また当院はCTも完備しておりますので、必要時はすぐにCTを撮影することも可能です。
まずは加湿器の使用中止
治療は何よりもまず“加湿器の使用中止”です。
使用を中止するだけで改善することが多いですが、なかなか良くならない場合は短期間ステロイドを内服することもあります。
カビよりも怖いレジオネラ菌
また近年では、カビだけでなく加湿器内のレジオネラ菌が原因で肺炎を起こし死亡されたケースもあります。
レジオネラ肺炎は高齢の方などでは重症化することも少なくないため、注意が必要です。
定期的な掃除で予防しましょう
毎日の水交換に加え、加湿器内の定期的な掃除で加湿器肺は予防できます。
加湿器内の掃除は少し面倒ではありますが、定期的な掃除をすることをおススメ致します。
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長引く息切れ・咳・喘息などでお悩みの方は、呼吸器専門クリニックである東広島市西条町助実の『西条すこやか内科』までお気軽にご相談ください。
西条すこやか内科
院長 奥本 穣(呼吸器専門医・総合内科専門医)