漢方薬の使いどころ
皆様は「漢方薬」にどのようなイメージをお持ちでしょうか?
漢方薬といえば、風邪のひき始めに飲む「葛根湯(かっこんとう)」、こむら返りに効く「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」、お腹の張りに効く「大建中湯(だいけんちゅうとう)」などが有名です。
漢方薬に対するイメージ
おそらく「苦い!」や「すぐには効かなさそう」といったイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか。
確かに一般的な薬(西洋薬)と比べると、必ずしもそのイメージが間違っているとは言えません。
しかし、使い方次第では西洋薬だけでは足りない部分を漢方薬が補ってくれることや、ときには西洋薬以上の効果を漢方薬が発揮してくれることさえあるんです。
今回はそんな“漢方薬の魅力”を呼吸器内科医としての立場からお伝えしたいと思います。
呼吸器科での漢方薬の使い方
呼吸器内科の診療で漢方薬を使用することは少なくありません。
よくあるのは咳や痰、のどの痛みを訴える患者様に対し西洋薬に加えて漢方薬を処方するケースです。
今回、皆様にご紹介したいのは、COPD(肺気腫)と新型コロナ後遺症にも漢方薬が有効であるということです。
「COPD」の場合
具体的には、COPD(肺気腫)の患者様で、食欲が落ち徐々に痩せてきている場合です。
COPDはタバコが原因の病気で、“肺の生活習慣病”と言われることもあります。
咳や息切れがCOPDの主な症状ですが、何年もそのまま放置していると食欲が落ち、体重が減少していくことがあります。
つまり、低栄養状態となってしまうのです。
呼吸筋力低下の予防が重要
低栄養で困ることの1つは”全身の筋力が低下してしまうこと”です。
特に困るのが「呼吸筋力の低下」です。
もともと呼吸機能が良くないCOPDの方の呼吸筋力が低下すると、これまで以上に少し動くだけで息切れするようになってしまいます。最終的には食事をするだけでも息切れするようになるため食欲がさらに落ち、さらなる筋力低下を起こしてしまいます。
こういった悪循環に陥らないようにすることがCOPDの診療では重要となります。
近年の研究で、そのようなCOPDの患者様に対し漢方薬を併用することで栄養状態が改善し免疫力も上がることがわかってきました。そのため、僕はCOPDの患者様に対し漢方薬を積極的に併用するようにしています。
「新型コロナ後遺症」の場合
新型コロナ後遺症に対しても漢方薬が有効とされています。
コロナ後遺症では、疲労感・息苦しさ・嗅覚障害・味覚障害などが代表的な症状とされています。
後遺症を起こす原因はまだまだ未解明な部分も多いですが、漢方薬を中心とした治療で時間経過とともに徐々に改善してくるケースが多いです。
ベストな治療を提供できるように
今回ご紹介したのはあくまで一例であり、実は漢方薬が使える場面はかなり多いです。
『西条すこやか内科』は西洋薬だけではなく、漢方薬も使用することで、患者様にとってベストな治療を常におこなえるよう心掛けて参ります。
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長引く咳・喘息・いびき・息切れなどでお悩みの方は、東広島市西条町助実の呼吸器専門クリニック『西条すこやか内科』までお気軽にご相談ください。
西条すこやか内科
院長 奥本 穣(呼吸器専門医・総合内科専門医)