仮面高血圧と白衣高血圧
先日の外来での出来事です。
いつも血圧が落ち着いている患者様の血圧手帳を確認していると、ある数日間だけ妙に血圧が高いのです。
「この期間何かあったんですか?」と尋ねると、驚きの答えが返ってきました。
「カープがサヨナラ負けしてイライラでやれんかったんよ」
どうやらカープが痛恨のサヨナラ負けを喫した日から数日間イライラして血圧が高かったようです。
数日すると無事に元通りの血圧に戻っておられました。熱烈なカープファンである患者様と“カープ性高血圧”ですねと笑った後、最近のカープ談義に花が咲きました。
そこで今回は「高血圧」を取り上げようと思います。
なぜ家庭血圧を測るの?
高血圧が疑われた患者様には、まず血圧手帳をお渡しして自宅での血圧である家庭血圧を測定してきていただくことが多いです。
その理由のひとつが、“病院での血圧と病院外での血圧が必ずしも同じとは限らない”からです。
仮面高血圧と白衣高血圧
病院でも病院外でも血圧が高い場合を「持続性高血圧」と呼びますが、病院と病院外での血圧が異なる場合が「仮面高血圧」と「白衣高血圧」です。
- 仮面高血圧
病院での血圧は正常ですが、病院外では高血圧の場合です。
まさしく“血圧正常という仮面“を病院でかぶっているため、仮面高血圧と呼びます。
仮面高血圧のやっかいなところは、病院での血圧は正常のため発見されにくいということです。
仮面高血圧は通常の持続性高血圧と同じくらい脳や心臓の病気を起こすリスクが高いため、早急な治療が必要です。
- 白衣高血圧
病院では高血圧ですが、病院外では血圧が正常の場合です。
白衣(つまり医療者)を目の前にすると精神的な緊張などで血圧が上がることから「白衣高血圧」と呼びます。
仮面高血圧よりもリスクは低く、すぐに治療を開始する必要はないことが多いですが、将来的に治療が必要となることもあり要注意です。
治療開始後も家庭血圧は重要です
つまり、持続性高血圧・仮面高血圧・白衣高血圧のどれであるかを判断するために家庭血圧が必要なのです。
もちろん高血圧の治療を始めた後も、うまく血圧がコントロールできているかどうかを判断するために家庭血圧の測定はとても重要です。
無症状だからこそ危険
高血圧の怖いところは“症状がほぼない”という点です。
症状がないため、高血圧の治療を始めても途中でやめてしまうこともあります。
しかし血圧を自宅で定期的に測ることで、高血圧の薬の効果を数値として実感できるため、治療を続けるモチベーションにもつながると思います。
気軽に始めてみましょう
この機会にぜひ皆様にも家庭血圧を測る習慣をつけていただければと思います。
本来は朝と寝る前の1日2回血圧を測るのが望ましいですが、難しければ1日1回でも構いませんので、気軽に始めてみましょう!
高血圧・糖尿病・脂質異常症などでお悩みの方は、東広島市西条町助実の内科・呼吸器内科・アレルギー科の『西条すこやか内科』までお気軽にご相談下さい。
西条すこやか内科
院長 奥本 穣(呼吸器専門医・総合内科専門医)