呼吸器内科
睡眠時無呼吸症候群（SAS）ー 日中の眠気やいびきを指摘されたことはありませんか？ ー
睡眠時無呼吸症候群（SAS）は睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。「睡眠の質」が悪くなることで、日中の眠気や集中力の低下を引き起こし、仕事など日常生活にも悪影響を及ぼします。近年では、脳卒中・心筋梗塞などのリスクも高くなることが明らかになっています。
SASは治療で劇的に症状が良くなる病気です。気になる症状がある方は、まずは当院にご相談ください。
自分では気づきにくい病気治療を受けているのは1割のみ
日本には約500万人（成人男性の3～7％、成人女性の2～5％）のSASの患者様がいると推定されています。しかし、その多くは診断されておらず、治療を受けているのは1割程度と言われています。無呼吸は睡眠時に起きるため、なかなか気づくことができないことが要因と考えられます。
多くの場合は激しい「いびき」を伴いますので、ご家族にいびきを指摘されて来院される方もよくおられます。また、SASを起こしやすい年齢は、男性では40～60歳代が大半を占め、女性では閉経後に増加します。
症状実は恐ろしい病気なんです
いびき、日中の眠気や集中力の低下、倦怠感、夜間の頻尿、起床時の頭痛などが見られます。
日中の眠気は作業効率の低下や居眠り運転にもつながります。また、SASは高血圧や糖尿病のコントロールにも悪影響を及ぼします。さらに近年では、脳卒中・心筋梗塞などを引き起こす危険性が3～4倍高くなり、特に重症例では死亡率が3倍になるという報告もあります。しかし、適切な治療を行うことで健常人と同程度までリスクを下げることができますので、早期診断・早期治療がとても重要です。
原因肥満じゃなくてもSASになることがあります
SASの大半は睡眠中に空気の通り道である上気道が狭くなることが原因で起こします。狭い上気道を空気がなんとか通過しようとするため、「いびき」が生じます。
特に、肥満とSASは深い関係があります。肥満で首回りの脂肪が多くなると気道が狭くなりやすいためです。しかし、加齢・顎が小さい・扁桃腺が大きい・鼻炎・鼻中隔弯曲などもSASの原因となるため、肥満でなくても注意が必要です。
検査・診断簡易PSG検査は自宅で簡単に検査可能です
当院では携帯型装置による簡易PSG検査をまず行います。簡易PSG検査は就寝時にご自身で機器を装着するだけなので、自宅で簡単に検査可能です（検査費用は3割負担の方で3000円程度）。簡易PSGの結果をみて、必要時は終夜睡眠ポリグラフ検査（PSG検査）の提案をさせていただきます（その場合、1泊入院が基本的に必要となるため、総合病院へ当院より紹介いたします）。
PSG検査で「無呼吸低呼吸指数（AHI）：1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数」が5以上で、かつ症状を伴っている場合にSASと診断します。SASと診断した場合、AHIの数値に応じて重症度（軽症・中等症・重症）を判定します。なお、“無呼吸”は10秒以上呼吸が止まること、“低呼吸”は呼吸の大きさが通常の半分以下に低下した状態が10秒以上続くことです。
治療標準的治療はCPAP療法
AHIが20以上（簡易PSG検査では40以上）の場合、標準的治療であるCPAP（シーパップ）療法が保険適応となります。CPAP療法とはマスクを介して持続的に空気を送ることで、狭くなっている気道を広げる治療法です。治療に慣れるまで数ヶ月ほどかかる患者様もおられますが、最近では様々な種類のマスクがありますので、相談しながら患者様にとって適切なマスクを選択できるようにサポートしていきます。CPAP療法を開始後は、SASの治療状況を確認する必要があるため、原則として月1回の受診が必要となります（3割負担の方で月5000円程度の費用がかかります）。
またSASの症状が軽い場合では、マウスピースによる治療をおこなう場合もあります。その他、適度な運動によるダイエット・寝酒はできるだけ控えること・横向きで寝るなどの生活習慣の改善も同時におこなっていただきます。
