広島ならではの喘息
呼吸器内科の診察では“職業がキーポイント”になることがあると以前の記事(レジオネラ肺炎)でご紹介しました。
そこで今回は、職業に関連して発症する喘息『職業性喘息』を取り上げようと思います。
カキ打ちの季節だけ…
以前呉医療センターで勤務していた際に、カキの打ち子をされている60代の女性が喘息の症状で来院されました。
詳しく話を伺うと、毎年カキ打ちの仕事をしている季節に咳やゼーゼーといった喘息症状が強くなると訴えられます。
つまり、カキ打ちの仕事が盛んになる秋~冬にかけて症状が出て、春~夏は治まるそうなのです。
ホヤ喘息とは
症状の原因は何だろうかと考えている時、頭に浮かんだのが『ホヤ喘息』です。
ホヤ喘息(通称“カキの打ち子喘息”)は、養殖のカキに付着するホヤの体成分を吸入することで発症する喘息です。
以前は風通しの悪い作業場で仕事をしていた影響などもあり、カキの打ち子さんの2割近くがホヤ喘息を発症していたという報告もあります。しかし現在は職場環境も改善され、発症率は低下しています。
またカキ打ちができるように
前述の患者様は何十年もカキ打ちを続けられている方であったため、仕事を辞めるわけにもいかず、まずは喘息の吸入薬を開始して、カキ打ちの仕事中はマスクを着用していただくことにしました。
すると症状はみるみる改善し、毎年のカキ打ちの仕事も問題なくできるようになりました。
色々な種類がある職業性喘息
このように職業に関連して発症する喘息を『職業性喘息』といいます。
ホヤ喘息の他にも、『コンニャク喘息』や『そば喘息』など様々な種類の職業性喘息が存在します。
いずれも製造過程で発生する「コンニャク舞粉」や「そば粉」を吸入することで発症します。
原因となる物質(抗原)を吸入し続ける限り、症状は徐々に強くなり肺機能も悪化してしまうため、早めの対策が重要となります。
呼吸器専門クリニックとして
本来であれば、原因抗原を吸入することがなくなるよう仕事を辞めたり仕事の配置転換をすることが望ましいですが、現実的には難しい場合も多いかと思います。
当院では患者様と相談しながら、できるだけ最善の対応をしていきたいと思っています。
『西条すこやか内科』は呼吸器専門クリニックとして、気管支喘息の診療にも“こだわり”をもっています。なかなか良くならない咳・ゼーゼーでお悩みの方はお気軽に当院までご相談ください。
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長引く息切れ・咳・喘息などでお悩みの方は、東広島市西条町助実の呼吸器専門クリニック『西条すこやか内科』までお気軽にご相談ください。
西条すこやか内科
院長 奥本 穣(呼吸器専門医・総合内科専門医)