頭がズキンズキン痛い(片頭痛)
のみならず僕の視野のうちに妙なものを見つけ出した。
妙なものを?
と云うのは絶えずまわっている半透明の歯車だった。
僕はこう云う経験を前にも何度か持ち合わせていた。
歯車は次第に数を殖やし、半ば僕の視野を塞いでしまう。
が、それも長いことではない。
暫くの後には消え失せる代わりに今度は頭痛を感じはじめる。
それはいつも同じことだった。
これは芥川龍之介が書いた『歯車』という小説の一部分です。
この“歯車“とはいったい何なのでしょうか?
前置きが長くなりましたが、今回のテーマは『片頭痛』です。
ズキンズキンと脈打つような頭痛
片頭痛とは、頭がズキンズキンと脈打つように痛くなる病気です。
“片頭痛”という病名の通り、頭の片側が痛くなるのが特徴です。しかし、片頭痛の4割は両側が痛くなるため、両側の頭痛だからといって片頭痛ではないとは決して言えません。
片頭痛は、日常生活や仕事に支障をきたすほど頭痛の程度が強いことが特徴です。また身体を動かすと痛みが増すため、横になって動けない状態のまま救急搬送されることもあります。吐き気や嘔吐を伴い、普段は気にならない光や音に対して敏感になることも多いです。通常、頭痛は4~72時間程度続きます。
片頭痛の発症年齢は20~40代のいわゆる「働き世代」に多く、女性に多い病気(男性の約3倍)です。日本では成人の8.4%が罹患しており、約1000万人が片頭痛持ちとされています。
片頭痛の前兆「閃輝暗点」
片頭痛の前兆として、目の前がチカチカしたり、歯車のようなギザギザしたものが現れる場合があります。片頭痛の約3割に前兆が見られ、それを「閃輝暗点」と呼びます。閃輝暗点は、通常は60分以内に終わり、その後頭痛が始まります。
つまり、冒頭で紹介した芥川が書いた“歯車“とは、片頭痛の前兆である閃輝暗点だったのです。歯車が消えた後に頭痛が起きていることからも、やはり片頭痛であったと考えられます。
片頭痛の治療法
片頭痛は様々な原因が引き金になります。代表的なものは体質(遺伝性があります)・ストレス・寝不足や寝過ぎ・飲酒(特に赤ワイン)・天候(気圧の変化)・月経などです。
片頭痛の急性期には、トリプタン製剤や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの痛み止めを使用します。
ここで注意が必要なのが『薬物乱用頭痛』という病気です。痛み止めを過剰に使用していると頭痛が慢性化することがあり、その状態を「薬物乱用頭痛」と呼びます。
そこで月に2回以上の発作がある場合や頭痛の程度が強い場合は、片頭痛の予防薬を使うことがあります。予防薬を使用することで、発作時の痛みの程度が軽くなり、持続時間も短くなることがわかっています。また、薬物乱用頭痛を防ぐことにもつながります。
片頭痛の予防法
規則正しい生活・ストレス発散・適度な運動が発作予防に重要です。赤ワインをはじめとしたアルコールも引き金になるため、飲酒を控えることも効果的です。また軽度の片頭痛であれば、カフェイン入りのコーヒーを飲んだり、痛い部分を冷やすと痛みが和らぐことがあります。
ここで片頭痛の患者様にお勧めしたいのが「頭痛ダイアリー」です。
つまり、頭痛が起こった日時やその日の天気・体調・ストレスなどを詳細に記録していただくのです。その記録を見ることで、次回の診療の参考になります。また、なによりも何が引き金となり発作が起きているかをご自身で認識することができるからです。
頭痛ダイアリーは、アプリでも入手できますし、日本頭痛学会のホームページからダウンロードすることも可能です。ご興味がございましたら、ぜひご活用ください。
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