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「腹部大動脈瘤」にご注意を

今回のテーマは『腹部大動脈瘤』です。

この病気は「突然死」の原因のひとつとしても知られています。

「突然死」とは、急激に発症し24時間以内に亡くなってしまうことです。

普段通り生活していたのに、急に発症し1日もせず亡くなるなんて考えたくもありませんよね。

腹部大動脈瘤による突然死を防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか?

腹部大動脈瘤とは

腹部大動脈は腹部を通る最も太い血管です

『腹部大動脈瘤』は腹部大動脈が“コブ状“に膨らんでしまう病気です。

それでは、なぜ“コブ“ができてしまうのでしょうか?

それは動脈硬化が原因で血管の壁がもろくなり、その部分に血圧などの圧力が加わることで血管が膨らんで“コブ”になってしまうからです。

また高血圧脂質異常症糖尿病などの生活習慣病喫煙なども発症に関係していることが知られています。

そういったこともあり、この病気は60歳以上の男性に多くみられます

初期は無症状のことが大半

初期は無症状のことが多く、健診などでたまたま発見されることがほとんどです。

サイズが大きくなると、腹痛腰痛腹部の圧迫感が出ることがあります。

また痩せた方の場合は、お腹にドックンドックンという拍動する“コブ”を自覚し来院することで見つかることもあります。

死亡率 80%の”サイレントキラー”

腹部大動脈瘤は破裂すると死亡率が非常に高いです

腹部大動脈瘤が破裂すると、その部分から大量に出血しショック状態となります。

一度破裂すると死亡率80%とも言われています。

この病気の怖い点は「破裂するまでは無症状なのに、破裂すると死亡率が高い点」です。

そのため、“サイレントキラー”と呼ばれることもあります。

予防には高血圧の治療や禁煙が大切

皆様は、長期間使用した庭の水やり用のホースにコブができ、破裂してしまった経験はありませんか?

『腹部大動脈瘤破裂』とは、まさにあの状態なわけです。

腹部大動脈瘤の治療で重要なことは「破裂を防ぐこと」です。

当然ながら動脈瘤のサイズが大きくなるにつれて破裂するリスクも高くなります

動脈瘤のサイズが小さい間は、定期的に受診していただきサイズの経時的変化を観察します。

また、高血圧を始めとした生活習慣病の治療をおこないます。さらに喫煙も破裂のリスクを上げるため、喫煙されている方では禁煙をできるだけ実行するよう指導します。

予防には毎日の血圧コントロールが大切です

便秘のコントロールも重要です!

そして、意外と重要なのが便秘の予防です。

便秘があると、トイレでいきむたびに血圧が急上昇し破裂のリスクが上がってしまうからです。

動脈瘤のサイズが5~6cmとなると年間の破裂率が3~15%に上がることから、一般的に5cm以上となった場合は手術を検討することが多いです。手術は、ステントグラフト内挿術と人工血管置換術が代表的です。

繰り返しになりますが、腹部大動脈瘤で重要なことは「破裂を防ぐこと」です。

そのためには、“早期発見・早期治療”が重要です。

腹部大動脈瘤の早期発見のために

ここで皆様でも簡単におこなえる「腹部大動脈瘤を早期発見するための方法」をご紹介します。

入浴時おへそ辺り手を当ててみてください。

お腹にドックンドックンと拍動する ”コブ” はありませんか?

もし、ドックンドックンと拍動する“コブ”を見つけた場合、腹部大動脈瘤の可能性があるため、お早めに医療機関にご相談することをお勧めします。

特に、現在高血圧を治療中の方や喫煙中の方は是非やってみてください。

今回はサイレントキラーこと『腹部大動脈瘤』についてお伝えしました。

腹部大動脈瘤は破裂すると死亡率80%以上の怖い病気です。

腹部大動脈のリスクを下げるためにも高血圧を始めとした生活習慣病の治療や禁煙から始めてみませんか?

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高血圧・糖尿病・脂質異常症などでお悩みの方は、東広島市西条町助実の内科・呼吸器内科・アレルギー科の『西条すこやか内科』までお気軽にご相談下さい。

西条すこやか内科 
院長 奥本 穣(呼吸器専門医・総合内科専門医)