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サルコペニア(筋力低下)

皆さんは『サルコペニア』という言葉を耳にしたことはありますか?

サルコペニアとは、「加齢による筋肉量の減少と筋力の低下」を指す言葉です。

健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく送れる期間)をいかに延ばすかを考える上で、このサルコペニアの予防の重要性が近年注目されています。

そこで今回は『サルコペニア』をテーマにお伝えしたいと思います。

サルコペニアになるとどうなる?

サルコペニアの状態となると、歩行や立ち上がることが難しくなり、よくつまずくといった症状がみられます。その結果、転倒・骨折や寝たきりとなるリスクが上がってしまいます。また、嚥下機能(飲み込む機能)や呼吸機能の低下にもつながるとされています。

COPD(肺気腫)は特に要注意

呼吸器内科の病気では、COPD(肺気腫)の患者様にサルコペニアが合併しやすいと言われています。

COPDはタバコが原因の病気で、“肺の生活習慣病”と言われることもあります。COPDが進行すると食事をするだけでも息切れをするようになるため、十分な食事を摂ることが難しくなります。その結果、低栄養による筋力低下が起き、さらに息切れが強くなるという“悪循環”に陥ってしまうのです。

ストロー1本でCOPD体験ができます

ストロー1本で簡単にできる「COPD体験法」を以前の記事(COPDを体験してみませんか?)で紹介しているので、ご興味がある方はご覧ください。特に、現在喫煙中の方やご家族に喫煙中の方がおられる場合は、お時間のあるときにご家族そろって体験してみてください。「COPDにはなりたくない。タバコをやめよう。」という気持ちになるかもしれませんよ。

サルコペニアの予防法

サルコペニアの原因は主に「活動量の低下」「低栄養」です。

つまり、運動で活動量を増やし、十分な栄養を摂ることがサルコペニアの予防には重要となります。

① 定期的な運動

運動の中では特に「ウォーキング」がおススメです。

以前の記事(ウォーキングで心筋梗塞を予防)でご紹介しましたが、定期的なウォーキングは心筋梗塞をはじめとした心血管の病気の予防にもつながります。まずは空き時間を見つけて、週に1回からでもウォーキングの習慣を取り入れてみませんか?

② 十分な栄養(特にタンパク質)

十分な栄養摂取のためには、まずは1日3食しっかり食べ、必要なエネルギー・タンパク質を摂取することが重要です。なかでも「タンパク質」の摂取が特に重要です。

具体的には、1日で体重1kg当たり1.2~1.5gのタンパク質の摂取が必要とされています。しかし実際の食事で計算してみると、この数字を達成する事は難しいと感じられるかもしれません。その場合は、まずは1日で体重1kg当たり1.0~1.2gのタンパク質摂取を目指しましょう。つまり、体重50kgの方は1日で50~60gのタンパク質の摂取が目標です。これでも、相当意識しないと目標の数値までは達しないかもしれません。

またタンパク質以外にも、骨の重要な成分である「ビタミンD」「カルシウム」も大切です。

明日からタンパク質を少しだけ意識して、バランスの良い食事を1日3食しっかり摂るようにしていただければと思います。また、若い頃のように食が進まないという方では、当院から栄養剤(カロリーの高いドリンク)を処方し、食事だけでは足りない栄養を補うことも可能です。

③ 漢方薬の併用

近年では、漢方薬の併用もサルコペニアの予防に有効であることがわかっています。そのため、当院ではサルコペニアのリスクが高い患者様では積極的に漢方薬を併用いたします。

「指輪っかテスト」でリスク判定

では、サルコペニアになるリスクはどう判断したら良いのでしょうか?

そこで今回は、「指輪っかテスト」をご紹介いたします。

すき間ができる時は筋肉量が減っている可能性が高いです

この方法で自分の筋肉量を簡単にチェックすることができます。このイラストのように、両手の親指と人差し指で輪っかを作り、利き足でない方のふくらはぎのいちばん太い部分を輪っかで囲んでみてください。

このとき、輪っかと足のあいだに隙間ができた方は、サルコペニアのリスクが高いと考えられ要注意です。

今回は『サルコペニア』についてお伝えしました。

サルコペニアになると転倒・骨折などのリスクが上がるため、普段の生活から予防することが重要です。

まずは「指輪っかテスト」でご自身のサルコペニアのリスクをチェックされてみてはいかがでしょうか?

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高血圧・糖尿病・脂質異常症などでお悩みの方は、東広島市西条町助実の内科・呼吸器内科・アレルギー科の『西条すこやか内科』までお気軽にご相談下さい。

西条すこやか内科 
院長 奥本 穣(呼吸器専門医・総合内科専門医)