タバコによる肺炎(急性好酸球性肺炎)
皆様は「タバコが原因の肺炎」って聞いたことはありますか?
正式名称は『急性好酸球性肺炎』といいます。
急性好酸球性肺炎は数日程度の短い経過で、発熱・咳・呼吸困難を引き起こします。
ときには人工呼吸管理が必要となるほど、呼吸状態が悪化することもある怖い病気です。
今回は、『急性好酸球性肺炎』を取り上げます。
タバコに対する”アレルギー”で発症
この病気は、20歳前後の男性に発症することが多いと言われています。
なぜだと思いますか?
急性好酸球性肺炎の原因としては「喫煙」が最も有名です。タバコの吸入刺激で起こしたアレルギー反応でこの病気は発症します。
アレルギー反応が起きると、肺の中に「好酸球」が集まり炎症を起こすのです(好酸球とは白血球の一種で、アレルギー反応に関与しています)。
特に「喫煙開始1ヶ月以内」に発症することが多いと言われています。そのため、急性好酸球性肺炎は20歳前後の男性に発症することが多いのです。
また、タバコ以外にも薬剤・化学物質・カビなども原因として知られています。
新型タバコでも起こします
急性好酸球性肺炎を疑った場合は、「問診」が重要となります。
”喫煙”というデリケートな話題のため、例えば未成年の患者様の場合はなかなか話しづらいこともあると思われます。そのため、普段よりもじっくりとお話を伺う必要があるのです。
また初回喫煙だけでなく、いったん禁煙した後の喫煙再開や受動喫煙でも発症することがあります。電子タバコや加熱式タバコといった「新型タバコ」でも発症するため、新型タバコといっても油断は禁物です。
急性好酸球性肺炎の診断
まずは血液検査と胸部レントゲン・胸部CTなどの画像検査をおこないます。
1ヶ月以内に喫煙を開始したという病歴があり、肺炎像と血液検査で好酸球の上昇があれば急性好酸球性肺炎の可能性が非常に高いです。
ただし、この病気のやっかいな点は、「血液検査で好酸球の上昇がないこともよくある」という点です。また、明確な喫煙の病歴がないことも多く、画像検査のみでは一般的な肺炎と見分けがつかないため診断が難しいことも少なくありません。
その場合は、以前の記事(肺を水で洗う検査)でご紹介した気管支肺胞洗浄をおこなう事があります。
回収した洗浄液中に好酸球が多く含まれていれば急性好酸球性肺炎と確定診断できます。また洗浄液中に細菌・ウイルスが存在しないことも同時に確認できるため、感染性の肺炎でないことも分かります。
急性好酸球性肺炎の治療
喫煙が原因として疑われる場合は、喫煙の中止のみで症状が良くなることがあります。
しかし、基本的にはステロイドの全身治療をおこなうことが大半です。ステロイド治療による効果は良好であり、比較的すみやかに症状は改善します。
なお、“肺炎“という病名ですが、一般的な感染性の肺炎に使用することが多い抗菌薬は効果がありません。
今回は、タバコが原因となり発症する『急性好酸球性肺炎』についてお伝えしました。
タバコは、「肺がん」や「COPD(肺気腫)」だけでなく、「肺炎」の原因にもなります。好酸球性肺炎のような“アレルギー性”の肺炎だけでなく、タバコは“感染性“の肺炎のリスクにもなります。
当院は、呼吸器専門クリニックとして禁煙外来にも力を入れております。呼吸器専門医・禁煙専門指導医のサポートのもと、禁煙治療を頑張ってみませんか?
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西条すこやか内科
院長 奥本 穣(呼吸器専門医・総合内科専門医)