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レジオネラ肺炎

「2週間以内に、温泉やスーパー銭湯に行きませんでしたか?」

呼吸器科医が肺炎と診断した際によくする質問です。

なぜ肺炎なのに温泉のことを尋ねるのかと思われる方もおられるでしょう。

これは「レジオネラ肺炎」の可能性を考慮した問診なのです。

どのように感染するの?

レジオネラ肺炎はレジオネラ菌に汚染されたエアロゾルを吸入することによって発症します。

潜伏期間は2~10日です。

水まわりが大好きなレジオネラ菌

レジオネラ菌は水まわり(特に20~45℃)で増殖しやすいです。

なかでも人工的な水循環設備を使用する温泉やスーパー銭湯で感染することが多いため、レジオネラ肺炎が疑われるケースでは冒頭の質問をおこないます。

加湿器が原因となることも

また以前「加湿器肺」の記事でもお伝えしたように加湿器内のレジオネラ菌が原因となり発症することもあるため、加湿器使用の有無と定期的な掃除をしているかも確認します。

腐葉土にもレジオネラ菌

温泉や加湿器以外では腐葉土にもレジオネラ菌が存在します。ある報告では、日本の腐葉土24種類のうち9種類からレジオネラ菌が検出されたそうです。

つまり、農作業や土いじりをしている際にエアロゾルを吸入し感染する可能性があるということです。

そのため、お仕事が農業や園芸業ではないか、また家庭菜園などの趣味で土いじりをする機会が多いかどうかも確認することがあります。

重症化しやすい肺炎です!

レジオネラ肺炎は咳・発熱・全身倦怠感などの一般的な肺炎の症状に加え、頭痛・意識障害・筋肉痛・下痢など肺以外の症状がみられるのが特徴です。

高齢の方などでは重症化することも少なくないため注意が必要な病気です。

ちなみに人から人には感染しません

尿検査で確定診断

画像検査で肺炎がある方で、尿検査(尿中抗原検査)の結果や温泉歴などからレジオネラ肺炎と確定診断されるケースが多いです。

レジオネラ肺炎には特定の抗菌薬が有効ですので、レジオネラ肺炎と診断したら早期に抗菌薬治療を開始します

多種多様な質問

この記事を通してお伝えしたいのは、呼吸器科の診察では温泉歴・加湿器の使用の有無・職業・土いじりの趣味などお聞きする項目が多種多様であるということです。それ以外にも、自宅は築何年か、木造かどうか、風通しは良いかなどを尋ねることもあります。

もちろん全ての患者様に対してこのように多くの問診をおこなうわけではなく、疑っている病気に応じて問診内容を変えていきます

呼吸器の病気は奥深いです

こういった問診の話題からも呼吸器疾患の診療の奥深さを感じていただけたのではないでしょうか?

当院は呼吸器専門クリニックとして、東広島の呼吸器診療に微力ながら貢献していきたいと考えておりますので、今後とも宜しくお願いいたします。

関連記事はこちら〉〉 加湿器で起こす肺炎

長引く息切れ・咳・喘息などでお悩みの方は、東広島市西条町助実の呼吸器専門クリニック『西条すこやか内科』までお気軽にご相談ください。

西条すこやか内科 
院長 奥本 穣(呼吸器専門医・総合内科専門医)