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一酸化炭素中毒

一気に朝晩の冷え込みが強くなってきましたね。

今回のテーマはこれからの季節に注意が必要な「一酸化炭素中毒」です。

死に至ることもある怖い病気

「一酸化炭素中毒」は、一酸化炭素を吸い込むことで発症する病気です。

軽症の場合は頭痛・吐き気程度で済みますが、重症の場合は意識障害・けいれんなどを引き起こし死に至ることもあります

酸素の”邪魔”をする一酸化炭素

本来は酸素がヘモグロビンにくっつくのですが…

一酸化炭素は酸素の200倍以上も血液中のヘモグロビンにくっつきやすく、酸素がヘモグロビンにくっつくのを邪魔します

そのため、本来ヘモグロビンにくっつくはずの酸素がくっつくことが出来ません!

その結果、全身に運ばれる酸素の量が減ってしまうため、身体は低酸素状態となり様々な症状を起こしてしまうのです。

無色・無臭の怖さ

一酸化炭素は不完全燃焼で発生するため、石油ストーブを使うことが増えるこれからの季節は特に要注意です。

また、一酸化炭素は無色・無臭であり、その存在に気づきにくいのも恐ろしい点です。

パルスオキシメーターのもうひとつの弱点

一酸化炭素中毒はパルスオキシメーターの弱点でもあります。

以前の記事(パルスオキシメーター)でパルスオキシメーターの便利さをご紹介致しました。

その中で、指先が冷たい場合やマニキュアを塗っている場合は正確な酸素飽和度を測ることが難しいと記載しました。

そして、一酸化炭素中毒もまたパルスオキシメーターで正確な酸素飽和度を測ることが難しい病気なのです。

パルスオキシメーターの弱点であるワケ

それでは、なぜ一酸化炭素中毒はパルスオキシメーターの弱点なのでしょうか?

理由は、「パルスオキシメーターは酸素がくっついたヘモグロビンと一酸化炭素がくっついたヘモグロビンを見分けることが出来ないため」です。

本来パルスオキシメーターは酸素がくっついたヘモグロビンを測る機械ですが、一酸化炭素がくっついたヘモグロビンも一緒に計測してしまうのです。

そのため、一酸化炭素中毒の患者様の酸素飽和度をパルスオキシメーターで測ると“正常値”のことが多いです。

まずは疑うこと

しかしながら、血液検査で酸素飽和度を正確に計測してみると“異常値”です。

そのため、現場の状況などから一酸化炭素中毒が疑われる場合は、パルスオキシメーターの結果を鵜呑みにせず、必ず血液検査で数値を確認するようにしています。

高気圧酸素療法とは?

このような装置に入って治療を受けます

一酸化炭素中毒の治療では「高気圧酸素療法」をおこなうことがあります。

加圧された高濃度の酸素を吸入することで、“ヘモグロビンにくっついた一酸化炭素を引きはがして、酸素とくっつける”イメージです。

一酸化炭素中毒だけじゃありません

この高気圧酸素療法は突発性難聴脳梗塞に対してもおこなうことがあります。

そのため、他科の医師から「この患者には高気圧酸素療法が問題なくおこなえるだろうか?」というご相談を受けることが時々あります。

なぜなら、肺の中に肺嚢胞という“空気袋“や空洞状の病変があると、気胸や喀血(肺や気管支からの出血)を起こすことがあるからです。

こまめな換気で予防しましょう!

東広島は冬場の冷え込みも強く、石油ストーブを使用されるご家庭も多いと思います。

30分~1時間ごとのこまめな換気をして、一酸化炭素中毒にならないように予防していきましょう。

関連記事はこちら〉〉 パルスオキシメーター

咳や息切れといった呼吸に関連した症状でお悩みの方は、東広島市西条町助実の呼吸器専門クリニック『西条すこやか内科』までお気軽にご相談ください。

西条すこやか内科 
院長 奥本 穣(呼吸器専門医・総合内科専門医)