Blog 西条すこやかブログ
  1. トップページ
  2. 西条すこやかブログ
  3. 眠れない(不眠症)

眠れない(不眠症)

突然ですが、“日本人の5人に1人が不眠症”と言われているのをご存じでしょうか?

現代では精神的ストレスによる不眠が急増しており、「寝付けない」「すぐに起きてしまう」「起床時に寝た感じがしない」などの睡眠障害を抱えた方が多くおられます。

そこで今回のテーマは、『不眠症』についてです。

不眠症には様々なタイプがあります

不眠症には様々なタイプがあり、入眠困難・中途覚醒・熟眠障害・早朝覚醒に分けられます。

  1. 入眠困難:なかなか寝付けない
  2. 中途覚醒:夜中に何度も目が覚める
  3. 熟眠障害:眠ったはずなのに満足感がない
  4. 早朝覚醒:朝早くに目が覚めてしまう

睡眠を妨げる要因とは

不眠症の診療では、まず夜間の頻尿・皮膚のかゆみ・呼吸困難感・薬剤(ステロイドetc.)など「医学的に対処可能な睡眠を妨げる要因がないか」を確認します。

同時に患者様の生活状況を詳しくお聞きし、「普段の生活で改善できる点がないか」を一緒に考えます。

それでは、睡眠にとって“良い”行動、“良くない”行動とは具体的に何でしょうか?

メラトニンとGABA(ギャバ)

起床後はカーテンを開けて日光を浴びましょう

眠気を引き起こす物質として、メラトニンGABA(ギャバ)が知られています。

メラトニン「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、体内時計を調節する役割をしています。

体内時計を整える生活習慣として、起床後にカーテンを開けて日光を浴びることが有効とされています。

GABAは、近年GABAが含まれたチョコレートなども販売されており、スーパーなどで見かける機会もあるかもしれません。

日中にGABAを摂取することで、寝つきが良くなるなどの一定の効果があるようです。

睡眠とアルコールの関係

逆に睡眠にとって良くないものとして、アルコールカフェインニコチンがあります。

「アルコールを飲むと寝つきが良くなるんよ」と言われる方もおられますが、アルコールを飲むと眠りが浅くなる(いわゆる“睡眠の質”が下がる)ことが知られています。

またカフェイン・ニコチンに関しても眠りが浅くなるとされているため、就寝前のタバコやコーヒーは避けていただくのが望ましいです

睡眠薬の種類

このような生活習慣の改善などを図っても不眠が改善しない場合、睡眠薬の助けを借りることとなります。

睡眠薬も様々な種類があり、①ベンゾジアゼピン系睡眠薬、②非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、③メラトニン受容体作動薬、④オレキシン受容体拮抗薬の4種類に分けられます。

① ベンゾジアゼピン系睡眠薬

ベンゾジアゼピン系睡眠薬には多くの種類がありますが、ブロチゾラム(レンドルミン)、トリアゾラム(ハルシオン)、エチゾラム(デパス)などの処方が特に多いです。

② 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、ゾルピデム(マイスリー)、ゾピクロン(アモバン)、エスゾピクロン(ルネスタ)の3種類です。

③ メラトニン受容体作動薬

メラトニン受容体作動薬はラメルテオン(ロゼレム)です。

④ オレキシン受容体拮抗薬

オレキシン受容体拮抗薬は、スボレキサント(ベルソムラ)とレンボレキサント(デエビゴ)です。

睡眠薬による転倒にはご注意を

従来はベンゾジアゼピン系睡眠薬が多く処方されていましたが、近年はベンゾジアゼピン系睡眠薬による依存形成(薬がないと眠れなくなる)や筋弛緩作用(筋肉に力が入りにくくなる)による転倒リスクなどが指摘されるようになりました。

睡眠薬の影響で転倒すると、骨折や頭部外傷などの危険性も高くなるため、特に高齢の患者様ではベンゾジアゼピン系睡眠薬は慎重に処方する必要があります。

転倒による骨折や頭部外傷には注意が必要です

そこで近年は、オレキシン受容体拮抗薬あるいはメラトニン受容体作動薬をまず試してみるケースが増えています(メラトニン受容体作動薬に関しては即効性があまりないため、2週間~1ヶ月かけてじっくりと効果をみていく必要があります)。

そして、オレキシン受容体拮抗薬・メラトニン受容体作動薬で効果が乏しければ、非ベンゾジアゼピン系を追加していくようにしています。

なお、オレキシン受容体拮抗薬はクラリスロマイシンという薬と併用すると血中濃度が上昇してしまいます。

その際は用量を減量する必要があり、クラリスロマイシンの処方が比較的多い呼吸器科医としては注意する必要があります。

可能な範囲で減量・中止を目指しましょう

当院は、出来るだけ「睡眠薬が必要のない状態」を目指していきたいです。

不眠が治れば漫然と薬剤を投与し続けるのではなく、適切な時期に減量・中止すべきと考えます。

しかし、睡眠薬の使用が長期間となっている場合では、「なんとなく飲み続けている」「もし睡眠薬をやめると眠れなくなるのではないかと不安で飲み続けている」といったケースも少なからずあるのではないでしょうか?

ただし、現実的には睡眠薬をゼロにするのは難しいことも多いので、患者様と相談しながら可能な範囲内で減量・中止を目指していきたいと思っています

眠りに関するお悩みがある方は、いちど当院にお気軽にご相談ください。

一緒に「スッキリとした目覚め」を目指してみませんか?全力でサポートさせて頂きます!

東広島市西条町助実の『西条すこやか内科』は、どういった症状でも気軽に相談できる“垣根の低いクリニック”を目指しています。今後とも宜しくお願いいたします!

西条すこやか内科 
院長 奥本 穣(呼吸器専門医・総合内科専門医)