Blog 西条すこやかブログ
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JMECCインストラクター

9月9日(救急の日)に呉医療センターでJMECCインストラクターとして指導をおこなってきました。せっかくの機会ですので今回はJMECCについてお話ししたいと思います。

JMECCでの指導風景の写真
JMECCでは様々な症例を想定した実技研修をおこないます

JMECCとはJapanese Medical Emergency Care Courseの略で、“ジェイメック”と読みます。わかりやすく言うと、日本内科学会認定の内科救急・ICLS講習会のことです。この講習会の受講生の多くは、内科系に進んだ後期研修医や、将来内科系に進もうと考えている初期研修医です。また、”受講生12人に対しインストラクターも12人”という、とても贅沢な講習会です。その点からも、若手内科医の臨床力をレベルアップさせようとする内科学会の強い意気込みが伝わってきます。

JMECC=ICLS+内科救急プログラム

ICLS講習会は「突然の心停止に出会った時にどのように対処するか」に重点を置いた内容です。具体的には、胸骨圧迫(心臓マッサージ)やAED、電気ショックや気道確保などの実技研修が中心となります。

つまり、急変(心停止)後の対応がメインなのです。

JMECCでモデルを使用し気管挿管の練習をしている写真
モデルを使って気管挿管の練習をします

そこでJMECCではICLSに加えて、内科救急プログラムの実技研修もおこないます。内科救急プログラムでは、実際に救急の現場でよく遭遇する疾患を何パターンも体験し、簡潔な病歴聴取や初期対応、治療法などを学んでいきます。

日本内科学会はこの急変前の対応を非常に重要視しています。それはいったいなぜでしょうか?

意外と「急変」は“急変”じゃない!?

「急変」の80%には前駆徴候があると言われており、“いかにして急変を未然に防ぐか”がとても大切です。ある論文では、「患者の66%が心停止前の6時間以内に何らかの徴候を起こしているが、医師はそのうち25%しか異常所見を把握していない」という悲しい結果が報告されています。つまり、医師が早期に異常を発見し対応できれば急変(心停止)する前に防ぐことができるかもしれないのです。

だからこそ、JMECCでは急変後だけでなく、急変前の対応にも力を入れているのです!

JMECCで若手医師が真剣に講義を聴いている写真
若手医師のみなさんは真剣に受講してくれます

JMECCインストラクターとして

JMECC講習会自体が長時間(約9時間!)であり、我々インストラクターは会場の準備・後片付けもおこなう必要があるため、JMECCの日は朝から晩までの1日仕事となります(昼食時もお弁当を食べながら、午前中の反省点などを議論します)。またインストラクターは大きな病院の内科部長を務めておられるような50代前後の先生方がほとんどで、僕はいつも最年少なのでとても緊張します。

しかし、どの先生も優しく、医学教育への情熱にあふれた方ばかりなので、毎回楽しく指導でき大変感謝しています。そして何より、自分自身も教える立場となって学ぶことや、逆に研修医の先生方から刺激を受けることも多く、とても有意義な時間を過ごすことができます。今回のJMECCでも、僕が広島大学病院時代に初期研修医として頑張っていた先生が立派な後期研修医となって参加されている姿をみて非常に嬉しくなりました。

これからもJMECCインストラクターとして積極的に指導をおこない、広島県の若手内科医のレベルアップに微力ながら貢献していきたいと思っています。そして、その指導で得たことを普段の診療にも生かしていきます!

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東広島市西条町助実の内科・呼吸器内科・アレルギー科の『西条すこやか内科』は、若手の指導も大好きな院長が診療しています!今後とも宜しくお願いいたします!

西条すこやか内科
院長 奥本 穣(呼吸器専門医・総合内科専門医・JMECCインストラクター)