Blog 西条すこやかブログ
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「在宅医療」の研修

先日、広島市東区医師会のご厚意で、「在宅医療同行研修」に参加させていただきました。

在宅医療同行研修とは、在宅医療を積極的におこなっている医師の訪問診療の様子を見学させていただく研修です。

高まる在宅医療の重要性

2025年には、“団塊の世代”が全て後期高齢者(75歳以上)となり、「国民の5人に1人が後期高齢者」という超高齢化社会に突入し、2040年代にピークを迎えることが予想されています。

超高齢化社会を迎えるにあたり、加齢や病気で要介護状態となった方のニーズも多様化し、近年は在宅医療の重要性が高まっています。

在宅医療の課題

在宅医療には様々な課題があります

在宅医療とは、通院が困難となった患者様の自宅に医療者が訪問し、医療行為をおこなうことです。

多くの高齢者は「可能なら住み慣れた自宅で最期を迎えたい」と希望されていますが、現状では色々な課題があり難しい状況です。

在宅医療に取り組む医師の数も十分でなく、在宅医療・介護資源の確保も課題となっています。

そのため、医師会がこのような研修を企画し、在宅医療に対する敷居を少しでも低くしようとご尽力されています。

「往診」と「訪問診療」の違い

”予定外”の診療は「往診」です

在宅医療には大きく分けて「往診」「訪問診療」があります。

皆様は、往診と訪問診療の”違い”をご存じでしょうか?

お恥ずかしながら、僕は今回の研修に参加するまで、ぼんやりとしたイメージでしか理解していませんでした。

  • 往診

医師が診療上の必要性があると判断したときに、“予定外に”患者様の自宅に赴いて診療すること

  • 訪問診療

医師があらかじめ診療の計画を立てて、“定期的に”(例えば2週間に1回など)患者様の自宅に赴いて診療すること

つまり、「事前に予定されていた診療かどうか」が往診と訪問診療の違いなのです。

実際の訪問診療に同行

今回の研修では、広島市東区牛田にある「外科胃腸科 いとう医院」の伊藤 利夫先生の訪問診療に同行させていただきました。

訪問したのは、90代の患者様のご自宅です。

その方は悪性腫瘍に伴う疼痛があり、伊藤先生が2週間に1回のペースで自宅を訪問され、鎮痛薬のコントロールをされているようでした。印象的だったのは、伊藤先生の「患者様本人やご家族の方の話をよく傾聴される姿」です。

自宅での診療のため、使用できる医療機器は限られます。

そのため、『とにかくご本人・ご家族の訴えをよく聴き、受け止めることが大切』と仰っていました。

研修の前後にも、伊藤先生からご自身の経験を踏まえた在宅医療のアドバイス(多職種連携の必要性など)や、開業医としての大切な心構えなどを長時間にわたり教えていただきました。

理想の医師像

僕は以前から在宅医療に興味を持っていました。過去の記事(呼吸器内科ってどんな科?)でもお伝えしましたが、僕が呼吸器内科医の道を選んだ理由のひとつが『患者様と長く関わり合える科』という点です。

「医師として責任をもって、ひとりひとりの患者様と最期まで向き合い続けたい」という想いがあり、呼吸器内科はそういった意味で自分の理想とする医師像に近い診療科です。そして、自分が考える“理想の医療”を実現するためには、在宅診療は欠かせないものです。今回の研修でとても貴重な経験をさせていただきました。

伊藤先生から「クリニックの診療に慣れてきたら、少しずつ始めてみんさい。大丈夫よ。」と心強いお言葉をいただきました。

地域のかかりつけ医を目指して

クリニック開業時点で、いきなり在宅医療をおこなうことは難しいかもしれませんが、将来的には積極的に在宅医療もおこなっていきたいと考えております。

近い将来に在宅医療をおこなう際、スムーズに開始できるよう普段から多職種との連携を図り、一歩ずつ準備を進めてまいります。

信頼される「地域のかかりつけ医」を目指して日々頑張りますので、今後とも『西条すこやか内科』を宜しくお願いいたします。

忙しい診療のなか、研修をしてくださった伊藤 利夫先生にはこの場をお借りして心より感謝申し上げます。これからもお体にお気をつけて、地域医療を支え続けてください。

関連記事はこちら〉〉 呼吸器内科ってどんな科?(後編)

長引く咳・喘息・いびき・息切れなどでお悩みの方は、東広島市西条町助実の呼吸器専門クリニック『西条すこやか内科』までお気軽にご相談ください。

西条すこやか内科 
院長 奥本 穣(呼吸器専門医・総合内科専門医・がん治療認定医)